2007年 01月 04日
オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎 |
まるでオースターの世界。
しかし、ニューヨークではなく作家は仙台住まい。
その魅力は徹底した虚構性。
日常を描くが決して流される事なく、しっかりと作り込まれた物語。
未来を語ることができるカカシ、だが、
自分の死は予知できない。(オーデュボン)
ここでは、人々の生きる時間が皮膜のように重層化している。
奇妙な人々ばかりの五つの時空間がバラバラに進行する。
しかし、それは最後に一枚のキャンバスの中に納められる。
まるでエッシャー絵画。そう、物語から時間を抜き取ると絵画になる。
そして終行、作家はタイトル(ラッシュライフ)を高らかにメッセージする。
最初に読んだのは、一瞬だけ重力を忘れることができるピエロの話。
テーマは重いが全体はいつも軽やか。(重力ピエロ)作家は時間だけでなく、
無重力空間も演出する。
調べてみると、この作家は既にたくさん作品をモノにしている。
今年も読者は忙しい。
by leporello1
| 2007-01-04 11:04
| book
|
Comments(0)