2019年 03月 23日
江戸の基層シンポジウム「古代・中世の府中から武蔵国を探る」 |
東京の基層は武蔵の国、その中心は現在の府中市周辺。江口氏の講演は飛鳥時代以来の周辺地域に散在する建物跡の発掘調査から集落のかたち、大きさ、水系・道系の関係を読み解いていく。面白いのは、昨年9月の「天武・持統朝の宮殿遺跡」フォーラム同様、発掘調査からは従来の歴史文献とは異なる、地域が持つ新たな意味が読みとれることだ。
この講演から教えられたことは、府中周辺地域の意味と役割を大きく変えたのは新田義貞の分倍河原の戦いであったこと。京都の変容が応仁の乱にあったとすれば江戸東京の基層の変容は京都以前、或いはほぼ同期であったと言って良いのかもしれない。
小野氏は「江戸名所図会」に描かれた江戸・東京を読むというユニークな講演。描かれた世界は天保7年という江戸の盛期から見た武蔵の国であることが重要。様々な時間と空間の意味を通時的に読み解き、あらたな建築と都市の建設の方法をさぐるのが理系・工学系的仕事だが、小野氏は江戸盛期という時点に立ち、武蔵の国の様々な時間・空間を共時的に読み取るという創造的方法を示した。つまり、その方法は文学的かもしれないが、記憶・追憶もまた新たな空間の意味づけには重要ということ示している。小野氏は浅草と府中の関係をこの方法によって具体的に解説された。
by leporello1
| 2019-03-23 23:31
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