2017年 11月 16日
映画・夫婦の危機 イル・カイマーノ |
今年のイタリア文化会館は昨年に引き続きイベント開催が多彩、歩いて行ける会場だけに連日楽しませていただいている。
久しぶりのナンニ・モレッティ、「息子の部屋」以来の映画だ。
「親愛なる日記」が最初だっただろうか、モレッティのシニカルなユーモアは大好きだ。
映画も建築もその楽しみはartifact、あるがままの世界に重ねられた虚構というのが自論だが、モレッティの真正な現実の上に浮上する批評的ユーモアがたまらない。
映画館での鑑賞のチャンスはほとんど外したことはないはずだ。
今回は何ともアカデミックな文化会館が会場、モレッティ自身がくすぐったいのではないかと思い、そのことだけでもニヤニヤしている。
上映の題名は「夫婦の危機」、原題は「Il caimano」、カイマーノとは「ワニ」のことだが、べルルスコーニを意味している。
メディアを牛耳ったインチキ首相と揶揄するモレッティはベルルスコーニがまだ首相の座にある10年ほど前にこの映画を製作している。
映画の中味はふるっていて、10年前は売れっ子であった映画のプロデューサー、その後はパッとせず、妻からは離婚も迫れているブルーノの物語。
モレッティは我が身を揶揄しながら、マスコミを牛耳るベルルスコーニを題材とする映画を作る人を描くことで、映画の持っている意味と役割を、あるがままの世界の上に作品として浮上させている。
by leporello1
| 2017-11-16 21:52
| Movie work
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