2009年 04月 06日
山水に遊ぶ展 |
府中市美術館の江戸絵画の風景250年展を見る。晴れ上がった週末、満開の桜のもと、美術館内外は一際華やぎ、展覧会はとても楽しい。山水に暮らす、絵をつくること、奇のかたち、ロマンティシズムの風景と4つに別れた展示はわかりやすく面白い。山水画に触れることが少ない私にとって得るもの大の有意義な見学だった。真景図という実景を描く方法が中国から取り入れられる以前、山水画は故事を題材とする架空の風景ばかりであったという。これは驚きだ、自然と写生好きの我々が、かっては物語の世界しか描いていなかったと言うのだから。日本画では定番の富士山だが、これは室町時代の雪舟からではあるが、よく描かれるようになるのはやはり江戸中期以降、国学の流行による神国の象徴であったことに始まると言う。若仲や蕭白という作為彷彿とした絵師の世界を知り、同時代の文人達の教養の高さと虚構を尊ぶ絵づくりに触れ、改めて江戸という時代の巾広さ、奥行きの深さを知らされた思いだ。それに比べると現代の我々の作り物、それらは全て、安全・便利・快適、所詮、損得や利害の産物にすぎないではないか。たまに登場する作品も、美術・芸術とはほど遠い、癒しと称する心寂しいなぐさみものばかりだ。
by leporello1
| 2009-04-06 15:19
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