2017年 10月 03日
映画・軽蔑 |
アダルベルト・リベラのマラパルテ邸、1938年にカプリ島の崖の上に建てられたヴィラ。
ファシズム政権下マラパルテとリヴェラはこの建築に何を託したか。
陽光の下、青い海へと駆け上がるこのうつろな大階段を舞台に、1963年にゴダールはブリジット・バルドーを主演に迎えモラビアの小説を映画化した。
今日はそのデジタルリマスター版を恵比寿ガーデンシネマで観る。
「神が人間を作ったのではない、人間が神を作ったのだ。」
「映画は欲望を視覚化したのだ。」
デジタルリマスター版はディレクターズカット、TV用に2時間弱に編集されている。
この映画を昔観たものにとっては、大事なシーンがカットされていてやや物足りない。
ポールは入浴中もアメリカ帽を取ることはない。
裸の美しいカミュは金髪だが、不似合いなショートカットの黒いウィッグがお好み。
そして、カミュの赤、ポールの白のタオルケットが強力なメッセージを発する。
物語の下敷きになる、トロイ戦争の英雄オデッセウスは何故、
イタケ島に帰れなかったのか、いや、帰らなかったのか。
リヴェラのマナパルト邸の屋上に立つものはポールなのかオデッセウスなのか。
そして、青い海と空の先にあるものはカミユかペネロパか。
いや、ゴダールが見るアメリカではないだろうか。
美しい地中海の島々はリアルでもあり、神話でもあるのだ。
by leporello1
| 2017-10-03 13:19
| movie
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