2017年 09月 06日
映画・ブランカとギター弾き |
「ミョノンと竪琴弾き」をイメージさせる、悲しいが、爽やかな映画。小説や絵画ではなく、映画のみが表現できる、さしたるドラマもなく、言葉少ないリアルな世界が描かれている。フィリピンのバラック街を舞台とする、ドキュメンタリー作家によるファンタジー。
クルマも少なく、Tシャツと短パンの人々が行き交う、淡い土色に煙った雑踏。安物のアクセサリーとカラフルな晴れ着で着飾ったゲイや娼婦たちとビニールシート張りのテント屋根がその水彩画に彩りを添える。稼ぎ場である広場には屋台とゴミと野宿のベンチ、遊び場である水辺は涼やかだが水は汚れている。どの場面も、そこには一切の嘘も無駄もなく、親もない、家もない、子どもたちの現実がもの悲しい詩篇として描かれている。
by leporello1
| 2017-09-06 11:07
| Movie work
|
Comments(0)