2012年 07月 13日
めぐろパーシモンホールのロッシーニ |
貴重な演奏会、記憶のあるうち、聴き取った曲想だけを書き残して置こう。
ピアノとオルガンの軽やかな絡まりから始まる第1曲のキリエは間違いなくロッシーニオペラの序曲。2曲・3曲、グローリア・グラチウスと自己紹介のような合唱曲が続き、4曲目はドミネ・デウス。この曲だけはyoutubeのパバロッティでよく聴いていた。今日の歌い手、小貫岩夫氏もリズミカルで明るく楽しい。5曲めのクイ・トリスはソプラノとアルト、宗教曲が持つ清潔感溢れる女声2重唱。6曲目のサンクトスはバス、ドミネ・デウス同様にリズミカル、その低音は前曲2重唱を引き立てる。バスは小松英典氏。次の7曲めが前半の締めのようだ。クム・サンクト・スピリトウは女声合唱を柔らかく男声合唱が包み込み、終曲のように優しく音が消えていく。
音楽の印象は男声が女声を包むように聴こえるが、配置は40人余りの男性を80人近い女声が囲んでいる、そう、空間配置と音楽の印象は逆のように感じられて面白い。8曲目クレードはピアノだけの間奏曲的イメージ。しかしイメージは次の9曲目のクルチフィクススで明快な形になり、ピアノ、オルガン、ソプラノによる不思議なアンサンブルが豊かになり響く。そして10曲目のエット・レゾレクシット、合唱、ピアノ、オルガンに4人の重唱、神への祈りは、階段を駆けあがるように高まっていく。11曲はプレリュード、ここでは多彩なピアノ独奏が高まりの中、朗々と歌う。そう、ロッシーニの時代はピアノの完成期、静かなモノローグのような音の連なりが印象的で美しい。ピアノは竹村美和子さん。12曲目のサンクトゥスはオルガンが印象的。演奏は茂木裕子さん。前曲との音の対比が何とも面白い。13曲目はソプラノ独唱、オー・サルータリス・オスティア。まさにシェーナ・カヴァティーナ・カバレッタで構成されるオペラ終幕のアリアそのもの。ソプラノは釜洞祐子さん。そして終曲のアニュス・デイはアルトがリード役。歌は城守香さん。ボクの好みの音質、今日は終始素晴らしかった。ピアノー>アルトー>合唱と曲は幾度となく回転し、繰り返される。その中、よく響くアルトが全体を盛り上げ、息が詰まるような高まりの中、全曲は終焉する。そして、大きく深呼吸、気がついたとき、ホールにはすでに大きな拍手が鳴り響いていた。
by leporello1
| 2012-07-13 23:05
| music
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